五月人形製造工程

<1> 鍬型

先ず、真鍮の板から2枚重ねて鍬形の形を、
ケガキ線に沿って切って行きます。
(この時に、真鍮に傷が付かない様に紙を貼っておきます。)



紙をはがし、次に鍬形の柄を一つ一つ打って行くものや、そのまま無地で磨きをかけて仕上げて、
金鍍金を施して行きます。

<2> 鉢

写真のように、鉄板から短冊形に切ってくぼめて穴を開け
一枚一枚手作業によってカシメ合わせていくのですが、
このカシメ具合が強過ぎても弱過ぎても綺麗な円になりません。

<3> 金箔押し



金箔は、全て純度95.5%以上の純金箔を使用しています。
塗師の手によって漆を施された小礼板に、箔押し師の手錬の技によって一枚一枚押されて行く金箔は、鎧・兜一領あたり百余枚使用されています。仕上がった小礼は、また塗師の手に戻り、裏側に透漆を施され、こうして白檀塗りが出来上がり小礼を仕上げて行きます。又、龍頭も同じように箔押しを施しております。

<4> 唐櫃



鎧・兜を飾る台座として、また鎧・兜の収納箱として大きな役割を持つ唐櫃。
木材に布張りを施しその上から、下塗り・中塗り・上塗りを施し研ぎをして柄を出したり布目を出します。
さらに塗りを施し本金メッキの飾り金物で仕上げます。また内側は、化粧紙張りを施してあります。

<5>錺り金具



彫師が彫り上げた金物を元型にして、電気鋳造の溶解槽に約6日程かけて銅を付着させ金物を成型します。
一つ一つ手作業で、切り、やすり等を使用して、本金鍍金を施して金物を仕上げて行きます。

<6>房・糸



縅糸は、正絹糸を組み上げた平打ち紐を使用しています。

<7>頭裏

頭裏は、刺し子状に糸が縫い込まれています。

<8>龍頭



龍頭は、木彫りで、箔押しを施し、兜とのバランスも十分に考慮した、勢いのある形に仕上げています。

<9>縅

縅糸は、全て正絹で繋ぎ方の技が生き
隙間もなくふっくらとした感じに仕上がります。

<10>籠手



鎖は、既製品の鎖にはない趣きをだし、全てが手作りのオリジナルです。
一つ一つ丸輪を作り三角輪で繋ぎ合わせて一本の鎖を作りあげています。

<11>草慴



両端を曲げているのは、全体のバランスを考えて躍動感・勇壮美を表現しています。

<12>帯

帯の結び目は、実際に解くことが出来ます。

<13>脛・毛履

脛・毛履の仕上げの確かさも、ご注目下さい。

<14>髭

正絹糸を使用し、たばねた絹糸を一つ一つニカワを使って付けていき、
自然な形に整えて行きます。

<15>立て木

鎧・兜を支えるものを芯木と言いますが、
この目に付かない所にも工夫をしております。

ただ単に白木の角材を接合・組み合わせるだけではなく、
特に耐久性のある木蘗(きはだ)の木を選び、塗りを施してあるのもあります。

芯木には、前後がありますのでお飾りになる際は、ご注意下さい。

<16>仕上げ

組み上げは、全て手作業で
思いを込めて一つ一つ仕上げて行きます。

京甲冑 工房 武久
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